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法定相続情報制度

執筆者 川西合同事務所 司法書士田原一暁

ここでは、法定相続情報制度についてご説明します。

相続手続きをするにあたって、先ず最初に「法定相続情報一覧図の写し」を管轄法務局で取得することにより、相続手続きが簡便、スムーズになります。

関連ページ:法定相続情報証明制度はどのタイミングで利用するのが良いですか?

今までの相続手続き

法定相続情報制度についてご説明する前に今までの相続手続き(もちろん今でもこの方法で相続手続きは出来ます)をご説明します。

 

 

⑴ 必要な戸籍を全て取得する

不動産の相続登記手続き、亡くなられた方の預貯金の解約手続きなどには、亡くなられた方(被相続人といいます)が出生してから亡くなられるまでの戸籍謄本(原戸籍謄本、除籍謄本などと呼ばれます)全て、法定相続人の方全員の現在の戸籍謄抄本が必要です。

なぜ被相続人の出生からの戸籍が必要なのか?

その理由は、相続手続きにおいては「相続人が誰なのか」を証明するだけでは足りず、「他に相続人がいないこと」も証明しなければいけないからです。

どのくらいの通数の戸籍を取得する必要があるのかはケースバイケースですが、転籍(本籍地を変更すること)を何回もしている方などは必要な戸籍が多くなりがちです。

また、本籍地が遠方である場合などには、戸籍謄本の取得に非常に手間がかかる場合があります。

 

⑵ 必要な戸籍が揃ったら提出先に提出する

必要な戸籍謄抄本一式が揃ったら、銀行・証券会社・法務局などに順次提出し、手続きを進めます。

提出先には、戸籍謄抄本の原本を提出する必要があります。

原本を提出してしまうと、もう一度戸籍を取り直さないといけませんので、提出先で原本を確認の上コピーを取ってもらい、原本の返還を受けるという作業を提出先ごとに何度も繰り返す必要があります。

また、提出先で戸籍の内容を確認してもらいますが、戸籍の記載内容を逐一確認するため、どうしても時間がかかります。

法定相続情報制度

前述のとおり、今までの相続手続きにおいては、「戸籍の内容の確認」「原本の返却」という部分で時間や手間がかかってしまっていました。

そこで、平成29年に導入されたのが「法定相続情報制度」です。

 

1.法定相続情報制度のイメージをつかむ

先ずは法定相続情報制度を利用した相続手続きのイメージをつかみましょう。

⑴ 必要な戸籍を全て取得する。(これは今までの相続手続きと全く一緒です)

 

⑵ 法定相続情報一覧図を作成する。4サイズの紙を用いて家系図のような形式で作成します。)

 

⑶ 法定相続情報一覧図保管の申出書を作成し、⑴で取得した戸籍謄本等一式(一覧図に住所を記載する場合には住民票や戸籍附票も添付)、⑵で作成した法定相続情報一覧図とともに管轄法務局に提出する。

※ 提出した戸籍謄抄本の原本は、法務局から返却されます。

 

⑷ 法務局で審査を受け、提出した法定相続情報一覧図が正しければ、その写しに認証文を付して交付を受けます。

ここで交付されるのが法定相続情報一覧図の写し」という書面です。 → 法定相続情報一覧図の写し(見本)

※ 法定相続情報一覧図の写しは何通交付を受けても法務局の手数料は無料で、申し出から5年間は再交付の申し出も可能です。

 

⑸ ⑷で交付を受けた法定相続情報一覧図の写しを利用して各相続手続きを進める。

 法定相続情報一覧図の写しを見ると、誰が相続人なのかが一目瞭然です。コピーを取るのも簡単です。

つまり、各相続手続きをスムーズに進めることが出来ます。

関連リンク:法務局のホームページ

法定相続情報一覧図の写しを利用できる場面

法定相続情報一覧図の写しを利用できる場面は、

1.預貯金の解約

2.不動産や自動車の名義変更

3.証券会社や保険会社の手続き

4.年金関係の手続き

5.相続税の申告(代襲相続の場合には利用できないようです)

6.家庭裁判所の相続に関する家事審判申立

※ 各家庭裁判所で取り扱いが違う可能性がありますので、事前確認が必要です。実際、当事務所の近隣の家庭裁判所では遺言書の検認手続きにおいて法定相続情報一覧図の写しに加え、遺言者(被相続人)の死亡の記載のある除籍謄本の提出が必要でした。

など、多岐にわたります。

※ 念のため提出先に事前確認する方が良いです。万が一法定相続情報一覧図の写しではダメということになれば法務局から返却を受けた戸籍謄抄本を提出し、原本提示の上、返却を受けましょう。

法定相続情報制度に関するご依頼について

⑴ 法定相続情報制度についてのご依頼をいただいた場合の事務

① 必要な戸籍の取得

② 法定相続情報一覧図の作成

③ 法定相続情報一覧図の写しの交付

④ 戸籍謄抄本の原本の返却を受ける

 この手続きをご依頼いただきますと、当方にて戸籍謄抄本等の必要書類の取得を代行することが可能です。

本籍地が遠方な場合などは、必要な戸籍の取り寄せに非常に手間がかかりますし、時間もかかります。

ご依頼者様の中には、戸籍謄抄本を大変な手間をかけて揃えてからお越しになる方もいらっしゃいますが、戸籍の取得からご依頼いただいた方が手間と時間を省いていただけます

 

⑵ ご依頼いただける方

こちらの記事をご参照ください

 

⑶ 費用

① 法務局においては手数料等一切かかりません。

② 司法書士報酬

当方にご依頼いただいた場合の報酬ですが、法定相続情報一覧図の写しの交付まで一式をご依頼いただいた場合には原則4万円(消費税、戸籍等の実費は別途)を頂戴しております。

ただし、相続による不動産の名義変更遺産整理業務と同時にご依頼の場合には、手続きに要する事務作業の多くの部分が重なるため、法定相続情報一覧図の写しの交付費用は無償とさせていただいております。当方の報酬基準はこちらになります。

費用の件については、事案により異なることもありますので、事前にご納得いただいてからのご依頼をお願いしております。

 

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