司法書士田原一暁(兵庫県川西市)登記・相続・遺言はお任せください

株式会社の解散・清算結了の登記

執筆者 川西合同事務所 司法書士田原一暁

株式会社を経営してきたが後継者もいないので会社をたたみたい。

現在すでに業務を行っていない株式会社があるのだけれどどうしたらよいか?

などとご相談をいただくことがあります。

目次

選択肢

1.会社を休眠状態にしておく

会社を休眠する旨の届出を税務署等に提出することによって、一時的に会社を休眠させます。

届出を出すだけですので、とりあえずはあまり費用がかかりません。

法人としては存続していますので事業再開も可能です。

ただし、あくまでも一時的に休眠させるだけですので、次のことに注意が必要です。

⑴税務申告の義務はある

⑵登記事項に変更があった場合には変更登記を申請する必要がある

取締役や監査役は、定款規定の任期が到来した場合には任期満了により退任します。

取締役や監査役の任期が到来した場合には、後任取締役や後任監査役の選任決議をし、役員変更登記を申請しなければなりません。

これを怠ると過料の対象となりますし、みなし解散にも注意が必要です。

 

2.会社の解散および清算結了をする

株式会社の解散および清算結了の手続きをします。

清算結了登記が完了すると、会社の登記記録は閉鎖されます。この時点で法人格が完全に消滅します。

解散しただけでは法人格は消滅せず、清算中の会社として存続していることになります。

清算結了すると税務申告の義務、役員変更の登記などの必要性は無くなりますが、一時的にコストがかかります。

 

3.お勧め

今後事業を再開する可能性がある場合には「休眠」を選択、事業再開の可能性が無いのであれば「解散および清算結了」を選択されると良いかと思います。

休眠を選択される場合には、前述のとおり役員変更登記などを忘れてしまわないように注意が必要です。

解散および清算結了を選択される場合には、次項以下をお読みください。

解散および清算結了手続き全体の流れ

解散および清算結了手続きの大まかな流れは次のとおりです。

債権者保護手続き(官報公告など)に最低2か月を要しますので、清算結了までには少なくとも2か月半以上はかかります。

 

1.株主総会で解散を決議する

会社の解散事由には「定款で定めた存続期間の満了」や「定款で定めた解散事由の発生」などもありますが、定款にそのような定めがある会社はあまり見たことがありません。

実際には、株式会社が解散する場合にはほぼ「株主総会の決議による解散」と思います。

この場合の株主総会の決議は特別決議となります。

 

2.清算人の選任

解散の決議をしただけでは会社の法人格は無くなりません。

清算人による清算事務を完了し、清算結了をした時点で会社は完全に消滅します。

定款に清算人に誰がなるのか?という規定があれば、定款の定めに従って清算人が就任しますが、株主総会で清算人を選任することも出来ます。

定款に清算人の定めが無く、株主総会で清算人を選任しない場合には、取締役が清算人となります。(法定清算人といいます)

取締役や代表取締役は全員退任となりますが、監査役は退任しません。

 

3.解散および清算人就任の登記

ここで一旦、解散および清算人選任の登記を法務局に申請します。

清算結了に至るまで、清算会社として存続して清算事務を行います。

 

4.清算人による清算事務、債権者保護手続き

清算人により清算事務、債権者保護手続きを行います。

また、清算人は解散時の財産目録や貸借対照表を作成し、株主総会の承認を受けます。

①現務の終了

②債権の回収

③債務の弁済

④財産の換価・処分

⑤官報への解散公告(会社の債権者に対して、最低2か月を下らない一定の期間内に債権の申し出をするように公告)

官報に公告してから最低2か月は清算結了することが出来ないことを意味しています。

官報への掲載が必要な場合(解散公告に限らず)には、私は兵庫県官報販売に申し込みをしています。

⑥知れたる債権者には個別に債権の申し出の催告

 

5.税務署等への異動届、解散確定申告書の提出

当事務所では行っていません。

ご希望があれば税理士さんをご紹介し、連携して対応しております。

 

6.残余財産の確定・分配および税務署への清算確定申告

残余財産が確定したら、株主に対して残余財産の分配をします。

残余財産がプラスの場合は分配しますが、残余財産がマイナスになる場合もあります。

残余財産がマイナスの場合には債権放棄を受けるなどする必要があります。

この場合、債務免除益の問題が発生することもありますので、税理士さんと連携して手続きをすすめます。

 

7.税務署への清算確定申告

清算が確定したら、税務署に清算確定申告書を提出します。当事務所では行っていません。ご希望があれば税理士さんをご紹介します。

 

8.決算報告書の作成および株主総会での承認

清算人は決算報告書を作成し、株主総会で承認を得ます。

 

9.清算結了登記の申請

株主総会での決算報告書の承認決議から2週間以内に、法務局に清算結了登記を申請します。

 

10.税務署等への清算結了の届出

解散および清算人選任の登記手続き

株主総会の決議により解散した時点で、解散および清算人選任の登記を管轄法務局に申請します。

後述する清算結了の登記に先立って、解散したらすぐに申請します。

 

1.必要書類

① 定款

② 株主総会議事録

③ 株主リスト

④ 清算人の就任承諾書(※法定清算人は不要)

⑤ 印鑑届出書

⑥ 清算人の個人の印鑑証明書(※印鑑届出書に添付します)

 

2.登録免許税

① 解散の登記   30,000円

② 清算人選任の登記 9,000円

の合計、39,000円が必要です。

清算結了の登記の手続き

清算人による清算事務、債権者保護手続きが完了したら、清算結了登記を申請します。

清算人は決算報告書を作成し、株主総会の承認を得ることが必要です

この段階で会社の法人格が消滅します。

清算結了登記が完了すると法人の登記記録は閉鎖されます。

 

1.必要書類

① 株主総会議事録(決算報告書を含む)

② 株主リスト

 

2.清算結了登記の登録免許税  2,000円

まとめ

解散および清算結了の手続きは、時間がかかります。

スケジュール管理をしっかりして対応する必要があります。

 

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