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株式会社の目的変更の登記

執筆者 川西合同事務所 司法書士田原一暁

会社は、定款で定められた事業目的の範囲内で事業を行わなければいけません。事業目的のことを単に「目的」といいます。

会社の目的は定款に絶対に定めておかなければいけない事項(絶対的記載事項)であり、また、登記事項でもあります。

目的の変更をした会社は、その変更から2週間以内に目的変更の登記を申請する必要があります。

目的変更を要するのはどんな時なのか?事業目的の変更の手順、注意事項などは、次のとおりです。

目次

どんな時に目的の変更を要するのか

事業目的の変更を要するのは、次のような時です。

 

1.新規事業を開始するとき

会社が新規事業を開始するような場合には、新たに事業目的を追加することが必要な場合があります。

例1 不動産業を営む会社が太陽光発電による売電事業を新たに行う場合 → 「太陽光発電事業および売電事業」を追加

例2 衣料品の小売業を営む会社が古着を買取再販する事業を新たに行う場合 → 「古物営業法に基づく古物の売買」を追加

※ 現在行っていないが将来行う予定の事業を目的に追加することも可能です。

 

2.ある事業分野から撤退するとき

会社が業態を変更する際には、新たに事業目的を追加するとともに、撤退する事業目的を削除することがあります。

例1 日用品の小売業を行っていた会社が店舗を閉鎖し、その跡地に収益マンションを建設して不動産賃貸業を営むことになった → 「日用品の小売業」を削除し、「不動産の賃貸並びに管理業務」を追加

例2 多数の事業目的が列挙されているために何をメイン事業としているのかわかりにくいため、その整理をする → 行っていない事業を削除

株式会社の事業目的の変更手続き

会社の目的は定款の絶対的記載事項です。

目的変更は定款の変更に該当しますので、株主総会にて商号変更の決議(特別決議)をしなければいけません。

 

定款変更の決議をした場合には、株主総会議事録を作成する必要があることはもちろんですが、手許にある定款の記載も併せて修正する必要があります。

ご相談の際に定款を見せていただくことが多いのですが、定款の内容が現状と一致していないことも多々あります。

定款変更の決議をした場合には、定款の該当箇所もきちんとお手入れをすることが大切です。

事業目的変更の際の注意点

事業目的変更の際には、注意すべき点があります。

 

1.主に行っている事業に関する目的を上に記載する

事業目的の記載順序は株主総会で決定できます。

主に行っている事業を上に持っていく方が良いと思います。

 

2.行っていない事業を記載しすぎない

会社の目的は、何個まででなければならないという決まりはありません。

将来行う可能性のある事業を追加しておくというのは有りかと思います。

しかし、あまりにたくさん事業目的を記載すると「いったい何をする会社なのか?」と見られるてしまう可能性もあります。

 

3.使用する文言は具体的、明確に

会社の目的は、法務局で誰でも取得できる登記事項証明書に記載されますので、会社外の人が目にする機会も当然あります。

ですので、会社の事業目的は、会社外の人から見ても具体的、明確である方が良いと思われます。

例 コンビニエンスストア経営している会社→単位に「小売業」とするよりは「コンビニエンスストアの経営」とする方がわかり易い

 

4.適法性、営利性に注意

違法性のある目的、営利性の無い目的は登記できません。

例 麻薬の販売、ボランティア活動等

 

5.許認可に差し支えの無い表現を用いる

許認可を要する事業を行う会社の事業目的は、許認可申請時に問題にならないように事前によく検討した上で定める必要があります。

許認可申請時に「目的が不適当である」となると、再度目的変更手続きをしなければなりません。

 

6.最終行に決まり文言を入れる

事業目的の最終行に「前各号に附帯関連する一切の業務」などと入れるのが通例です。

登記申請手続き

事業目的の変更をした会社は、その変更から2週間以内に目的変更の登記を申請する必要があります。

登記事務を管轄する法務局は法務局のホームページで確認することが出来ます。

 

1.必要書類

⑴目的変更を決議した株主総会議事録

株主リスト

 

2.申請書の記載方法についての注意事項

変更後の目的を、変更が無かった事項も含めて全て記載します。

例① 事業目的を1個追加した場合 → 追加した事業だけではなく既存の事業もすべて記載する

例② 事業目的を1個削除した場合 → 削除して残った事業をすべて記載する

 

3.登録免許税  3万円

追加したり削除したりする事業目的の数にかかわらず一律3万円です。

まとめ

事業目的の変更のご依頼があった場合には、ご依頼者のお話を先ずはよくお聞きします。

事業目的を追加する場合には、お聞きした事業目的を明瞭かつわかり易い表現にすることをご提案します。

また、許認可が必要な事業においては、許認可申請の際に問題にならないように細心の注意を払います。

事業目的を整理統合または削除する場合には、他の事業目的も含めて文言の整理をご提案します。

 

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