司法書士田原一暁(兵庫県川西市)登記・相続・遺言はお任せください

執筆者 川西合同事務所 司法書士田原一暁

とある不動産会社さんからのご依頼の件でした。

亡くなった方の名義のままの不動産を買い取るとのこと。先ずは登記内容を確認しようと登記情報提供サービスで登記情報を取得することにしました。

1.登記情報が取得できない?

登記情報提供サービスで登記情報を取得しようとするのですが、事件中で取得できない状態が何日か続きました。

法務局が登記申請を受け付けるなどした場合、登記事件の処理中には登記情報にアクセスで出来ないように法務局側がロックを掛けます。登記事件の処理中には登記情報にアクセスすることが出来ません。「事件中」になるということは、内容は分かりませんが、登記事件の処理が行われ、登記内容に何らかの変動があることを意味します。

きっと、売却のために相続登記を申請中なのだろう(亡くなった人の名義のままでは売却できない)と思い、登記情報が取得できるかどうかを定期的にチェックしていました。

そして何日か後にやっと登記情報を取得することができたのですが・・・

2.登記情報はとれたけど・・・

やっと取得できた登記情報を確認すると・・・??

①相続による所有権移転

登記原因  平成●年●月●日相続

共有者

持分2分の1 A

持分2分の1 B

ここまでは良いのですが・・・・・

②B持分全部移転 ??

登記原因 令和●年●月●日売買

共有者

持分2分の1 C社(調べると少し遠方の不動産会社でした)

となっているではありませんか・・・

 

この登記の意味は、「法定相続分どおりに相続による所有権移転登記を行い、その上で共有となった不動産のBさんの持分をC社が買い取った」ということです。 C社は全く知らない会社なのですが、C社に売却の意向が無ければ売買が出来ないことになります。

3.案件を持ち込んだ仲介業者さんの説明

この案件は、買主の不動産会社に飛び込みで営業にきた初見の仲介業者さんが持ち込んだものでした。

仲介業者さんの説明

①売却の相談はAさんからのみ受けていた

②AさんとBさんは元々仲違いしていた(仲違いしていることは、こんなことになってから初めて聞いた)

③Bさんの持分を買い取ったC社は、元々予定されていた売買価格では売却しないと言っている(もっと高い値段じゃないと売らない)

 

C社の希望価格では高すぎるので、買主の不動産会社さんはこの案件を見送ることになったのでした。

4.この事案のポイント

①法定相続分どおりの持分割合での相続登記は、法定相続人の内の1人から申請することができる。

例えば、法定相続人が妻、長男、二男の3人いる場合、法定相続分どおりの割合であれば、妻、長男、二男は各々単独で相続登記の申請が可能です。他の相続人の印鑑証明書は原則として必要ありませし、他の相続人の同意も必要ありません。

この事案では、仲介業者さんと接点の無かったBさんが単独で相続登記を申請をしたようです。

 

②共有者の持分のみを売買することは可能。

この事案の場合、売買の対象不動産は普通の戸建住宅でしたが、共有不動産の持分のみを売買することは可能です。共有持分を売買するにあたり、他の共有者の同意は必要ありません。

しかし、通常は家族でもない第三者が持分のみを買うことはありません。

この事案で持分の購入をしたC社は、持分のみを購入することを商売としてやっていると考えられます。

 

C社の出口戦略(C社とは直接コンタクトを取っていないので推測です

⑴ Aさんに持分を買い取ってもらう

C社がいくらでBさんから持分を購入したかは分かりませんが、相当安い価格での購入と思われます。Aさんは共有者と歩調を合わせなければこの不動産を売却できません。C社から持分を買い取ることにより共有状態を解消して第三者に売却をするというのは、選択肢としてあり得ます。C社は、安く買い取った持分を売却して差益を獲得します。

⑵ 共有物の分割を請求する

C社は、仲違いしている共同相続人Bさんと結託しているようなものですから、Aさんが買い取りを拒否する可能性も高いです。そのような場合に、共有物分割請求をするということが考えられます。

民法第256条や第258条に規定があります。

(共有物の分割請求)
第二百五十六条 各共有者は、いつでも共有物の分割を請求することができる。ただし、五年を超えない期間内は分割をしない旨の契約をすることを妨げない。
 前項ただし書の契約は、更新することができる。ただし、その期間は、更新の時から五年を超えることができない。
(裁判による共有物の分割)
第二百五十八条 共有物の分割について共有者間に協議が調わないときは、その分割を裁判所に請求することができる。
 前項の場合において、共有物の現物を分割することができないとき、又は分割によってその価格を著しく減少させるおそれがあるときは、裁判所は、その競売を命ずることができる。
 
火中の栗を拾うようなものですし、資金回収までに相当時間がかかることが想定されますから、C社は相当安い価格で購入していることが想像されます。

5.まとめ

仲介業者さんは、AさんとだけでなくBさんとも事前にコンタクトを取る必要がありました。Aさんは問題解決までに時間も費用もかかりますし、心理的負担も大きいことでしょう。

相続した不動産を売却する場合には、相続人全員の足並みがそろっている必要があります。しっかりと話し合いをして方向性を決め、相続登記を終わらせてから売却手続きに臨むことが大切です。

相続による所有権移転登記についてはこちら、相続登記に必要な書類はこちらをご参照ください。

 

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