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昭和50年代の抵当権の抹消登記漏れ

執筆者 川西合同事務所 司法書士田原一暁

 

抵当権抹消登記の申請を放置していると後々面倒なことになることは今までに何度か書いてきましたが、最近、昭和50年代に設定された抵当権の抹消登記がされていない事案がありました。

どのような経緯で発覚し、どのように手続きを進めるのかについて書いてゆきたいと思います。

発覚の経緯

今回の場合、相続による所有権移転登記のご依頼をいただき、登記情報提供サービスで登記情報の事前確認をした際に発覚しました。

関連リンク:登記情報提供サービス

 

この不動産の所有権の登記名義は亡くなった夫であり、亡き夫は亡き夫の父から約20年前に相続をしています。

名義人の亡き夫から依頼者である妻に相続による所有権移転登記をするとの事案です。

設定されている抵当権は昭和50年代に設定されたものであり、設定されてから約40年が経過しています。

抵当権の債務者は、亡き夫の父(故人)です。

抵当権の内容

設定されていた抵当権の内容は、次のようなものでした。

 

抵当権者:損害保険会社(会社再編前の古い社名での登記)

登記原因:住宅ローン保証保険契約による求償債権

債権額:300万円

債務者:夫の亡き父

 

この記載から推測されることは、

①住宅ローンに関する抵当権であること

②被担保債権はもう完済している可能性が高いこと

であり、抵当権の抹消登記が必要です。

ご依頼者のお話し

ご依頼者にこの事実をお伝えしてお話をお聞きしました。

抵当権が残っていることは全く知らず、抵当権に関する書類は手許には無いとのことでした。

義理の父の住宅ローンについて全く知らなくても無理はありません。

分からないなりに対応していくほかありません。

抵当権者への連絡

まずは抵当権者に連絡をしなければいけません。

インターネットで検索をして、抵当権者が現在どの会社なのか?を調べます。

銀行もそうですが、金融機関は社名変更や合併などで、現在、どの会社が権利を有しているのかが分かりにくいことが多いです。

 

今回の事案では、某大手損害保険会社が当事者であることがわかりました。

 

規模の大きい会社ですので、抵当権の抹消登記漏れの担当部署を調べようと思いましたが、なかなかわかりません。

仕方がないので、大代表に電話をして確認してもらいました。

何回か電話を掛け直して、大阪にある部署が担当部署であることがわかりました。

 

ご担当者に事情を説明したところ、該当の記録が残っていて、抵当権抹消登記に協力していただけることになりました。

このような場合の抵当権抹消登記の手続き

抵当権抹消登記の手続きに必要な書類を紛失している場合には、必要な書類を抵当権者に再発行してもらうことになります。

関連ページ:抵当権抹消登記(通常の場合)

 

再発行してもらう書類ですが、抵当権者の現在の代表者(代表取締役など)のお名前で解除証書や委任状を再発行してもらいます。

ただ、再発行が出来ない書類として、登記済証があります。

昭和50年代の抵当権設定登記の場合、抵当権設定契約証書に法務局の登記済みの朱判が押されたものが登記済証である場合がほとんどです。

抵当権抹消登記には、この登記済証を添付する必要があります。

紛失して添付できない場合には、通常は事前通知という制度を利用して抵当権抹消登記を申請します。

関連ページ:権利書、登記識別情報通知を紛失したのですが?

 

抵当権抹消登記には、通常、抵当権者の印鑑証明書は必要ありませんが、登記済証が添付出来ない場合には、抵当権者の印鑑証明書(登記申請時に発行後3か月以内)の添付を要します。また、委任状の押印は、法人の法務局届出印である必要があります。

まとめ

さて、抵当権抹消登記の手続きに必要な書類を紛失している場合にも手間を掛ければ抹消登記は可能です。

ただし、

1.書類の再発行に時間がかかる

2.事前通知制度を利用しての登記申請は時間がかかる

ということは、念頭に置いておかなければなりません。

 

売却の期日が決まっている等、時間に制約がある場合には困ったことになる場合があります。

抵当権抹消登記は、お早めに申請することをお勧めします。

お電話でお問い合わせの方は、072-740-3900 にお電話ください。(平日の9時から17時)

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川西合同事務所 司法書士田原一暁