司法書士田原一暁(兵庫県川西市)登記・相続・遺言はお任せください

株式会社の取締役会、監査役制度の廃止

執筆者 川西合同事務所 司法書士田原一暁

目次

会社法施行以前の株式会社の役員

会社法施行以前は、株式会社においては、取締役3名以上、監査役1名以上の選任が必須であり、取締役会も必ず設置しなければいけませんでした。

少なくとも4名の役員が必要だったわけですが、小規模な会社においては、実際には会社の事業に関与していない人を名目上の役員にしていたりするなどの弊害がありました。

会社法施行以降に設立する株式会社の役員構成

会社法施行以降に設立する株式会社は、取締役の人数は1名以上、取締役会の設置・監査役の設置は任意となりました。

会社の実情に応じて役員の構成を決めることが出来ます。

 

注1 取締役会、監査役を設置しないためには、発行している株式の全てに「株式の譲渡制限」の規定が設定されている必要があります。

関連ページ:株式の譲渡制限に関する規定の登記

注2 株式の譲渡制限の規定が無い会社は、取締役会を設置する必要があります。その場合には取締役は3名以上必要となります。

会社法施行以前から存在する会社

会社法施行以前から存在する株式会社は、取締役会設置会社であり、取締役が3名以上、監査役が1名以上という形態となっています。

取締役会設置会社である旨、監査役設置会社である旨が登記官により職権で登記されています。

会社に実情に合わせて取締役を3名以下に減員し、監査役も必要が無いということであれば、定款を変更し、取締役会を置かない会社、監査役を置かない会社に変更する必要があります。

取締役会、監査役制度を廃止する手続き

取締役会、監査役制度を廃止するためには、いずれも定款の変更が必要です。

株主総会を開催し、特別決議にて決議する必要があります。

 

1.取締役会、監査役を廃止するためには、株式の譲渡制限に関する規定が定款に定められている必要があります。

株式の譲渡制限に関する規定が存しない会社は、先ずは株式の譲渡制限に関する規定を設定する必要があります。

株式の譲渡制限に関する規定とは「当会社の株式を譲渡により取得するには、株主総会の承認を要する」というような規定であり、定款変更をした上で、その旨の登記も必要です。

関連ページ:株式の譲渡制限に関する規定の登記

 

2.監査役を廃止するためには、取締役会を廃止しなければなりません。

取締役会を設置している会社は、監査役を必ず置かなければなりません。

取締役会を残し、監査役のみを廃止することは出来ません。

逆に監査役制度を採用し、取締役会を置かないことは可能です。

 

3.株主総会を開催し、取締役会、監査役の廃止を決議します。(特別決議)

 

4.取締役会、監査役の廃止の登記を決議の効力発生後2週間以内に、取締役会設置会社である旨の定めの廃止の登記、監査役設置会社である旨の定めの廃止の登記を管轄法務局に申請します

※ 取締役の員数に変更がある場合には、取締役の変更登記も併せて申請する必要があります。

※ 監査役を廃止する登記を申請する際には、監査役の退任の登記も併せて申請する必要があります。この監査役の退任登記には、監査役の辞任届は必要ありません。

登記申請に必要な書類、登録免許税

1.登記申請に必要な書類

⑴取締役会、監査役を廃止する決議をした株主総会議事録

⑵株主リスト

※ 株主総会の決議に基づき登記申請をする場合には「株主リスト」が必要です。株主リストについては法務省のホームページをご参照ください。

 

2.登録免許税

⑴取締役会設置会社である旨の定めの廃止 3万円

⑵監査役設置会社である旨の定めの廃止 3万円

⑶取締役、監査役の変更登記 1万円(資本金の額が1億円以上の会社は3万円)

※ 取締役会を廃止し、監査役を廃止し、且つ取締役、監査役を変更する場合には、登録免許税が合計7万円必要になります。

まとめ

取締役会、監査役を廃止することによって、会社の実情に合せた役員構成に変更することができます。「名前を借りているだけの役員」はいませんか?

代表者の変更や事業承継の際に、取締役会、監査役の廃止を検討してみてはいかがでしょうか?

 

ご相談の方は、お気軽にご連絡ください。

お電話でお問い合わせの方は072-740-3900 にお電話ください。(平日の9時から17時)

お問い合わせフォームでお問い合わせの方は、下記ボタンをクリックしてください。(お返事にお時間をいただく場合があります)

川西合同事務所 司法書士田原一暁