執筆者 川西合同事務所 司法書士田原一暁
不動産登記費用のお見積もりをするためには、まずは事案の内容を確認する必要があります。
所有権移転登記なのか、抵当権設定登記なのか、抵当権抹消登記なのか等、申請すべき登記の内容を明確にする必要があります。
事案の内容を確認した上で、
1.登録免許税
2.登記事項証明書等の実費
3.司法書士の報酬(消費税がかかります)
を計算してお見積もりをします。
所有権移転登記、所有権保存登記など登録免許税の算出に固定資産税の評価額が用いられる場合には、固定資産税の評価証明書、固定資産税の納税通知書、名寄帳などの最新年度分をご準備ください。
固定資産税の評価額は、毎年4月1日に年度が変更となります。
例えば、令和3年度の評価額で計算するのは、令和3年4月1日から令和4年3月31日までとなります。
この固定資産税評価額に税率を掛けて登録免許税を計算します。
登録免許税の税率は、登記の目的や登記原因により異なります。
土地の売買による所有権移転登記 税率 15/1000(1.5%)
建物の売買による所有権移転登記 税率 20/1000(2%)
※ただし、住宅用の減税が適用できる場合は、建物のみ3/1000(0.3%)となります。
贈与、財産分与等による所有権移転登記 税率 20/1000(2%)
相続による所有権移転登記 税率 4/1000(0.4%)
などと決まっています。
所有権の保存登記の場合は、固定資産税評価額×4/1000が原則ですが、自己居住用の建物の場合には1.5/1000または1/1000となる場合があります。(住宅用家屋証明書の添付が必要です)
固定資産税評価額がまだ決まっていない新築建物の場合には、法務局の認定した価格で計算をする取扱いになっています。
この場合には、建物が存在する都道府県・建物の種類・構造・延床面積をご確認いただく必要があります。
抵当権設定登記、根抵当権設定登記などの担保設定登記の登録免許税の算出には、債権額や極度額が用いられます。
担保を設定する金融機関に債権額や極度額をご確認ください。
担保設定の登録免許税の税率は、原則として債権額・極度額の4/1000(0.4%)となります。
例えば、債権額1000万円の抵当権を設定するためには、1000万円×4/1000=4万円の登録免許税がかかります。
ただし、住宅用家屋の取得のために設定する抵当権設定登記(住宅用家屋証明書を添付した場合に限る)は、税率が1/1000(0.1%)となります。
その他に、次のよう特例もあります。
信用保証協会の担保設定の場合の税率は、1.5/1000。
日本政策金融公庫の担保設定の場合は、下記の要件を満たせば非課税。
1.債務者が法人の場合は資本金の額または出資金の額が5億円未満であること。
2.登記申請書に非課税証明書を添付すること。
この場合の非課税証明書は、次のとおりです。
①債務者が個人の場合は、住民票や印鑑証明書など(作成後6か月内)
債務者=設定者(不動産の所有者)の場合は、債務者の印鑑証明書が必ず添付されるため、別途非課税証明書を準備する必要はありません。
②債務者が法人の場合は登記事項証明書
会社法人等番号を提供すれば添付省略が可能です。
抵当権抹消登記、住所氏名の変更登記等の場合には、不動産の個数が登録免許税の算出に必要です。
抵当権抹消登記、住所氏名の変更登記の登録免許税は、不動産1個につき1000円となります。
例えば、土地1筆、建物1棟に設定された抵当権を抹消登記する場合には不動産の個数が2個となりますので、登録免許税は2000円となります。
マンションの場合には、専有部分の建物を1個、敷地権の目的となっている土地の個数を1個と数えます。
不動産の個数を確認するためには、権利書を見る、抵当権設定契約書を見るなどの方法があります。
登録免許税の他に不動産登記手続きに要する実費としては、次のようなものがあります。
1.不動産の登記申請の準備のために登記内容を確認するための費用
当事務所では、登記申請前の登記内容の確認に、登記情報提供サービスを利用しています。
不動産1個につき332円の実費が必要です。
2.登記手続きが完了した後に取得する登記事項証明書
登記手続き完了後には、登記事項証明書を取得します。オンライン申請をしますので、1通480円となります。
3.登記申請に要する戸籍謄抄本
相続による所有権移転登記に必要な戸籍謄抄本の実費です。
これは事案により必要な額が変わりますが、数千円~1万円くらいに収まる場合が多いです。
4.固定資産税評価証明書
市区町村により多少違いますが、不動産1個につき300円程度の市町村が多いです。
固定資産税の納税通知書の課税明細があれば取得を省略できる場合が多いです。
ご希望の登記申請を申請する前提として、別の登記申請が必要な場合があります。
事例としては、次のようなものがあります。
1.所有権移転登記の前提として住所氏名の変更や相続による所有権移転登記が必要な場合
2.抵当権抹消登記の前提として住所氏名の変更登記や相続による所有権移転登記が必要な場合
このような場合には、前提としての住所氏名の変更登記や相続による所有権移転登記の費用が別途必要です。
司法書士に依頼する場合の報酬ですが、各司法書士が独自に定めることとなっていますので、依頼する司法書士により異なります。
当方の報酬基準はこちらです。
ご不明点等ございましたら、お気軽にお問い合わせください。
関連ページ:司法書士報酬の相場について
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