執筆者 川西合同事務所 司法書士田原一暁
不動産の登記手続きにおいては、印鑑証明書が必要な場合が数多くあります。
ご相談やご依頼の際に、手許にある印鑑証明書を「古いから使えないですよね?」と言われる方がいらっしゃいますが、一概に古いから使えないということはありません。
預貯金の相続手続きなどに使用する印鑑証明書の期限は「発行後3か月以内」「発行後6か月以内」などとされていることがありますが、それには法的根拠があるわけではなく、あくまでも提出先の金融機関のローカルルールです。提出先に確認することが必要です。
では、不動産登記における印鑑証明書はどうなのでしょうか?
1.売買による所有権移転登記の売主の印鑑証明書
関連ページ:売買による所有権移転登記(売却)
2.贈与による所有権移転登記の贈与者の印鑑証明書
関連ページ:贈与による所有権移転登記
3.離婚にともなう財産分与による所有権移転登記の分与者の印鑑証明書
関連ページ:離婚にともなう財産分与
4.所有権抹消登記の所有権を抹消されてしまう人の印鑑証明書
5.抵当権設定登記をする場合の不動産の所有者の印鑑証明書
関連ページ:抵当権設定登記
上記1.~5.に共通しているのは、次の2点
⑴その登記をすることにより形式的に不利益を受ける「登記義務者」の印鑑証明書であること
⑵登記義務者が「不動産の所有者」であること
この2つの要件に当てはまる場合には、印鑑証明書は3か月以内でなければなりません。
1.遺産分割協議書に添付する印鑑証明書
2.親権者の同意書に添付する印鑑証明書
3.登記上の利害関係人の承諾書に添付する印鑑証明書
4.利益相反取引承認の取締役会議事録、株主総会議事録に添付する印鑑証明書
5.上申書に添付する印鑑証明書
上記1.~5.の共通項は、その書類の押印が実印でなされていることを証明する(=その書類が本人によって作成されたことを証明する)ために添付されている印鑑証明書であることです。
不動産登記申請書に添付する印鑑証明書の有効期限の判断基準は、次のようになります。
1.所有権の登記名義人である登記義務者(登記申請をする際に形式的に不利になる人)の印鑑証明書は発行後3か月以内でなければならない。
2.遺産分割協議書等に押印された印影が実印であることを証明する(つまり書類の真実性を担保する)ための印鑑証明書は3か月以内でなくても良い。
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